イルファン・マウラナ (Mongabay 5月14日)
インドネシア最大の環境保護団体ワルヒ(インドネシア環境フォーラム)は、ボルネオ島(カリマンタン島)の西カリマンタン州ベンカヤン県に計画されている原発に反対して、ジャカルタと西カリマンタン州で抗議行動を行った。
「私たちは、西カリマンタンを核災害の脅威から遠ざけるよう主張しています」と、ワルヒ西カリマンタン支部の事務局長ヘンドリクス・アダム氏は述べた。
1964年にインドネシア初の実験用原子炉である TRIGA Mark II が バンドン市で稼動した。しかし、それ以来、この国はまだ本格的な原発を建設していない。
2023年3月、インドネシアと米国貿易開発庁(USTDA)は、SMR(小型モジュール型原発)を建設するためのパートナーシップ協定を締結した。この合意には、インドネシア国営電力会社PLNへの、実行可能性調査費用100万ドルの補助金が含まれていた。
PLNは西カリマンタン州での46万kW(7.7万kW×6基)のSMR建設を計画しており、このSMRには米国のオレゴン州に本拠を置くニュースケール社が提供する技術が使用されることになる。
4月26日にジャカルタで行われたワルヒの抗議行動では、参加者たちが「インドネシアはチェルノブイリではない」と書かれた横断幕を広げた。チェルノブイリ原発事故と福島原発事故からの教訓は、インドネシアの市民社会運動に多くの情報を与えている。
「人間と環境の悲劇の歴史は、原発が完全には制御できないことを示しています」とアダム氏は語った。
彼はまた、ボルネオ島が、ジャワ島、スマトラ島、スラウェシ島などの島々ほど地震活動が活発ではないことを理由に選ばれたことについて疑問を呈した。
「カリマンタンがこの災害から安全であるという仮定は、もちろん真実ではありません」とアダム氏は語った。「カリマンタンには、メラトゥス断層、マンガバヤル断層、タラカン断層、サンプルナ断層、パテルノスター断層などの地震源があります」
また、ワルヒのエネルギーキャンペーン・リーダーのファニー・クリスチャント氏は語った。「インドネシアでは太陽光やその他の再生可能エネルギーの普及が遅れており、クリーンエネルギーに移行している他国で見られるような補助金が出されていない。私たちにはエネルギー移行のための選択肢がたくさんあるのに、なぜ再生可能エネルギーではなく危険なテクノロジーを選択しなければならないのでしょうか」
ジョコ・ウィドド大統領は、温室効果ガス排出量を2030年までに30%削減するという国連気候変動枠組条約会議COP26に合意している。
西カリマンタン反原発連合のコーディネーターであるアビット・ニブラス・トリラナン氏は、「原発の建設には費用と時間がかかりすぎることが判明している」と述べた。アビット氏はまた、原発を監視する国家機関の能力にも疑問を呈した。
別の民間企業であるPT ThorCon Power Indonesiaは、スマトラ島沖のバンカ・ブリトゥン州の小さな島に実験用原子炉を建設する計画を立てている。
インドネシア国家研究イノベーション庁(BRIN)の主任専門家であるスーパーマン氏は、「インドネシアの28カ所の地域が原発建設の候補地とされているが、主な焦点は西カリマンタン州である」と指摘した。
「将来的には、大型の原発が段階的に建設される可能性がある」とスーパーマン氏は述べた。