「気候危機の時代における原発輸出入政策への抵抗」・原発拡大への国際共同対応のためのウェビナー

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オ・ソンイ編集委員 (韓国脱核新聞12月号より)

11月19日に開かれたこのウェビナーは、脱核新聞と反核アジアフォーラム(NNAF)、脱核市民行動、ユン・ジョンオ国会議員(進歩党)、国会気候危機脱炭素フォーラムが共同で主催した。ウェビナーは、キム・ヒョヌ氏とDJジャニエの共同司会で行われ、韓国とフィリピン、日本、トルコの脱原発活動家たちが各国の原発輸出入の現況とその問題点について発表した。

韓国の状況は、イ・ホンソク氏が紹介した。韓国は、米国やカナダなどから輸入して原発を建設してきたが、1990年代に原子炉を国産化し、2009年からはアラブ首長国連邦(UAE)に原発を輸出した。17年には英国ムーアサイド原発、22年にはポーランドにも原発輸出を試みたが、事業が失敗に終わったり取り消しになった。

イ・ホンソク氏は、最近、韓国がチェコに原発輸出を試みているが、ウェスティングハウス社が知的財産権を主張して訴訟を起こし、その結果は分からないと分析した。

現政権は「原発最強国」を成し遂げるとして大型原発輸出と小型モジュール原子炉(SMR)等を開発しているが、事業主体が公企業であるにもかかわらず、国民に収益性や安全性などに関して正確に知らされたことがなく、事業者が国会にも資料を提出していないと指摘した。

彼は、脱原発の労働者と共に、原発産業の正義的な転換への議論をすることが必要だと強調した。

フィリピンからは、「非核バターン運動」のデレック・チャベ氏が報告した。バターン原発は1984年に完成したが稼動したことがない。マルコス・ジュニア大統領は、父親の主要政策の復活の意味をこめて、候補時代から稼動を公約して推進している。

このための実行可能性調査を韓国の韓水原が費用まで負担しながら協力している。

しかし、バターン原発は、マニラ海溝に近く、断層帯と火山地帯に位置する立地的な問題とともに、核廃棄物に対する解答が出ていない。また、アンケート調査の結果、バターン原発のあるモロン地域の半分に近い地域住民たちが稼動に反対している。

デレック・チャベ氏は、「原発の輸入・輸出を阻止することは、核拡散を防止することだ」とし、「バターン原発の稼動を阻止するために、韓国の人々の役割が非常に大きい」と強調した。

原子力資料情報室の松久保肇事務局長は、日本の原発輸出計画失敗の歴史を紹介した。同氏は、「日本は福島原発事故前から自国内の新規建設が停滞するなかで輸出を試みた」と述べた。

日本は、2010年にベトナムと原発の輸出に合意したが、ベトナムの電力需要見通しの下方修正、費用、対外債務問題で、16年に計画が中止された。

日立は、英国で原発建設を引き受けたが、計画が取り消され、莫大な損失を被った。三菱重工業もトルコで原発の建設に参加することにしたが、費用が増加して撤収した。東芝は、米国の原発製造会社であるウェスティングハウス社を買収したが、建設費用が莫大に超過し、この買収によって東芝は破産寸前に追い込まれたと報告した。

松久保事務局長は、「世界エネルギー機関(IEA)の見通しによると、原発が増える主要な国は中国だが、中国は自国で部品調達が可能なため、中国への原発輸出は容易ではない」と述べた。

最後に、トルコ反核プラットフォームのプナール・デミルジャン氏が、民主主義が後退したトルコの社会全般の状況とともに、トルコの原発輸入問題を報告した。トルコ政府は「2050年ネットゼロ」を達成するために原発を3倍に増やすと発表し、3ヵ所で原発の建設と計画を推進している。

彼女はまず、シノップ原発の建設には、居住人口の増加、大規模な漁業被害、100万本以上の伐採など問題があり、事業者選定もされていないのに、トルコ政府は政治的な目的のために環境影響評価を承認したと批判した。

アックユ原発は、工事が遅れたために、まだ稼動していない。また、ロシア国営企業のロスアトムとその系列会社がアックユ原発の持分を大部分所有しており、電力需給においてロシア依存度が高くなっている。

プナール氏は、「ロシアでは反核運動が活発ではなく、トルコも最近、反核活動を行うことが安全ではない状況だ」とし、「国際的な協力が重要だ」と強調した。

その後、参加者たちは、原発が決して気候危機の代案になり得ないことについて、市民とより積極的に認識を共有し、原発の輸出と輸入を防ぐために連帯を強化しようと、意見を集約して行事を終えた。

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★ノーニュークス・アジアフォーラム通信191号
(24年12月20日発行、B5-28p)もくじ

・「気候危機の時代における原発輸出入政策への抵抗」
  原発拡大への国際共同対応のためのウェビナー (オ・ソンイ)
・フィリピンと韓国が、バターン原発の実行可能性調査を開始することに対して、環境保護団体は警鐘を鳴らす (ハンナ・フェルナンデス)
・韓国の原発関連事情 (岩淵正明)
・日韓脱核平和巡礼2024 (昼間範子)
・老朽原発の寿命延長を中断し、原発振興の暴走を今すぐ止めてください (カン・オンジュ)
・柏崎刈羽原発再稼働の是非を県民投票で (大賀あや子)
・被災原発、女川原発を動かすな (日野正美)
・「動かすな!女川原発 11.2全国集会」でのスピーチ (武藤類子)
・島根原発2号機へ燃料を装荷せず再稼働をするな (広島県5団体)
・島根原発2号機の再稼働に怒る (芦原康江)
・東海第二を廃炉にして、原電自体の使命変えることこそ (披田信一郎)
・原発と核燃サイクルへ (片岡栄子)
・いらない!核のゴミ、止めよう!中間貯蔵施設 (安藤公門)
・放射能汚染土再利用にIAEA(国際原子力機関)が「お墨付き」
  環境省が進める放射能の全国へのバラマキにストップを (青木一政)
・浜岡原発の防波壁、28メートルにかさ上げへ (沖基幸)
・「12・8とめよう!原発依存社会への暴走 関電包囲大集会」に参加して (青山晴江)
・保養資料室《ほよよん》の近況・企画展「能登半島地震」 (宇野田陽子)

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